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金融機関が「オウンゴール」をしているから、貯蓄から投資が進まない



日銀が3ヶ月に1度のペースで発表する、金融機関や家計などの資産や負債の推移を示した「資金循環統計」にミスがあった事が、平成30年(2018年)6月の改定作業で明らかになりました。

そのミスとは平成28年(2016年)度末の、個人の投資信託の保有額は、98兆5,173億円としていたものが、72兆2,004億円にすぎなかったというものです。

個人の保有額は公募投資信託の全体の残高から、金融機関などの保有額を差し引いて推計しているのですが、一部の金融機関が持つ投資信託の分類を誤り、実態よりも小さい数字を差し引いていた事が、ミスの原因になったようです。

またデータの修正によって、近年は順調に増加していた個人の投信信託の保有額が、実際は減っていた事になり、貯蓄から投資が進んでいると信じてきた金融業界に、大きな衝撃を与えました。

平成28年(2016年)度の日経平均株価の推移を見ていると、前半は15,000円程度だったものが、後半は20,000円程度まで上昇しております。

そのため日本だけでなく他の国の株価も、それほど悪くはなかったと思うのです。

それにもかかわらず個人の投信信託の保有額は、実際は減っていたのですから、驚きを感じてしまいます。

この理由について考えてみると、ミスが明らかになった翌月に金融庁が発表した調査結果が、ヒントを与えてくれるような気がします。

その調査結果とは金融庁が、主要行9行と地方銀行20行の窓口で投資信託を購入した顧客全員の、平成30年(2018年)3月末と、購入した時の投信信託の評価額を比べてみたところ、46%の方の運用損益が、マイナスになっていたというものです。

要するに銀行で投信信託を購入した方の約半数が、残念ながら損をしていたのです。

銀行で販売されている投資信託の多くは、販売手数料(購入する時にかかる手数料)が約2~3%、信託報酬(投資信託を保有している間にかかる手数料)が年率で約1.5%の、手数料が高めのものになります。

こういった投資信託を購入した場合、初年度は3.5~4.5%(販売手数料+信託報酬)を超える利回りを確保しないと、運用損益はプラスにはならないため、46%の方の運用損益がマイナスになった要因のひとつは、手数料の高さによるものと推測されるのです。

なおインターネット専業の証券会社が販売している投資信託には、ノーロード(販売手数料なし)で、信託報酬が年率で0.5%以下のものがあるため、銀行よりは運用損益をプラスにしやすくなります。

このような手数料の高い投資信託を、顧客に購入してもらう事によって、銀行は短期的には利益を得られると思います。

しかし手数料の高さなどによって、運用損益がマイナスになっている顧客は、投資信託やこれを販売した銀行に対して、悪いイメージを持つようになり、両者から離れていくかもしれません。

そうすると銀行は、その顧客から長期的に得られるはずだった利益を、得られなくなってしまうのです。

ですから手数料の高い投資信託の販売に成功するのは、銀行にとってのゴール(得点すること)のように見えて、実はオウンゴール(自分の能動的な行動により、自陣のゴールに誤って失点すること)ではないかと思うのです。

銀行という一番身近にある金融機関が、このようなオウンゴールをしていると、いつまで経っても貯蓄から投資は進まないと思います。
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  1. 2018/08/15(水) 20:53:58|
  2. 投資・節約