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過労自殺、セクハラ、文書改ざんの根底にあるのは「辞められない社会」



平成28年(2016年)の終わり頃に、大手広告代理店である電通の女性社員が自殺したのは、過労によるものだったとして、三田労働基準監督署が労災認定したというニュースが話題になりました。

このニュースについて紹介した、あるニュースサイトの記事を読んでいたら、「そんなに仕事が辛いなら早く退職して、別の仕事を探せば良かったのではないか?」という意見が、コメント欄に掲載されているのを見つけました。

この意見に対して最初は共感したのですが、改めて考えてみると、待遇や知名度などの面で、電通と同レベルの会社に再就職するのは、今の日本ではかなり難しいと思うのです。

そうなると仕事を辞めたくても我慢を続けるしかなく、我慢の限界に達したところで、自殺という最悪の結果になったと推測しております。

ところで最近あるニュースサイトの記事を読んでいたら、上記の意見が頭の中に浮かんできました。

それはテレビ朝日の女性社員が、財務省の元事務次官からセクハラを受け、上司に相談したにもかかわらず、約1年半に渡って取り合ってもらえなかったという記事です。

この女性社員は音声データを週刊誌に提供して、セクハラの事実が公になったのですが、約1年半もセクハラを受け、そのうえ上司に助けてもらえなかったのに、なぜ我慢を続けたのでしょうか?

そんな厚顔無恥な取引先と、薄情な上司がいる会社は早く退職して、別の仕事を探せば良かったと思うのです。

ただそうはいっても今の日本では、待遇や知名度などの面で、テレビ朝日と同レベルの会社に再就職するのは、かなり難しいと思うのです。

そのため電通の女性社員と同じように、仕事が辛くても我慢を続けるしかなく、我慢の限界に達したところで、週刊誌に音声データを提供するという、暴挙に出たと推測します。

セクハラを受けた女性は、おそらく意志が強かったため、このような行動に出られたと思うのですが、意志の弱い女性だったら、自殺していたかもしれず、それによってセクハラの事実が、公になったかもしれません。

このように今の日本は思うように辞められない社会であり、これは多くの被害者を生んでいるだけでなく、加害者も生んでいるのです。

それは国有地の売却をめぐる決裁文書について財務省が、組織ぐるみの改ざんをしていたというニュースを見た時に感じました。

決裁文書などの公文書の偽造は、「1年以上10年以下の懲役」という大変重い処罰を受けます。

それにもかかわらず組織ぐるみの改ざんをしたのは、命令を出した人々は組織を守るためだったと思うのです。

実際のところ、命令を出した一人と考えられている元国税庁長官は、このような趣旨の発言をしておりました。

またその命令を受けて改ざんをした人々は、上司の命令に逆らうと、組織の中に居づらくなるからだと思うのです。

もし今の日本が辞められる社会だったら、犯罪に手を染めるような事までして、組織を守る必要はなかっただろうし、また犯罪に手を染めるような命令は、拒否できたのではないでしょうか?

決裁文書の改ざん問題では自殺者が発生しておりますが、この方は辞められない社会の加害者であると同時に、被害者でもあるのです。

思うように辞められない要因のひとつになっているのは、上記のように一度辞めたら、元のような状態に戻るのが難しい事だと思います。

その理由として大企業の正社員や公務員は「雇用の流動性」が低く、これらよりも流動性の高い中小企業の正社員や、派遣社員や契約社員などの非正規雇用が、再就職先になる場合が多いからだと思います。

また「横並び意識(他の者と同じような考え方や行動をとること)」の強い日本人は、退職によって元のような状態に戻れない、つまり周囲と同じレベルの生活が送れなくなる事に、不安を感じるのかもしれません。

前者の「雇用の流動性」を変える事は、個人の努力ではどうにもなりませんが、後者の「横並び意識」から脱する事は、個人の努力によって可能になります。

つまり皆が欲しがるものを、一緒になって追い求めるのではなく、自分だけの幸せの基準を見つけ、それを満たすようなものを追い求める生き方をすれば、辞められない社会の被害者や加害者になる可能性を、低くする事ができると思うのです。
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  1. 2018/04/29(日) 20:18:05|
  2. 政治・経済