fc2ブログ

人生と自動車の運転は控えめが良いと説く、「菜根譚」の教えを学ぼう!



加害者のあおり運転を受けて、東名高速道路の追い越し車線で停車した被害者の夫婦が、後続のトラックに追突されて、死亡するという事故が、平成29年(2017年)6月に発生しました。

この事故に関する裁判員裁判の判決公判が、平成30年(2018年)12月14月に、横浜地方裁判所で実施されたのです。

深沢茂之裁判長は加害者の運転行為と死傷事故に、因果関係があると認められるため、危険運転致死傷罪が成立すると判断し、懲役18年(求刑懲役23年)を言い渡しました。

個人的には妥当な判決だと思うのですが、加害者は控訴する可能性があるため、当面はこの事故に注目が集まりそうです。

改めてこの事故を振り返ってみると被害者の夫が、加害者を挑発するような発言(ニュース記事によると「邪魔やボケ」)をしなかったら、事故は発生しなかった、またはこの夫婦ではなく別の方が、被害者になっていたと思うのです。

こんな事を考えていたら、中国の古典である菜根譚(著:洪自誠、訳:守屋洋)に記載されている、次のような言葉が頭に浮かんできました。

『人を叱責するときには、あまり厳しい態度で臨んではならない。相手に受け入れられる限度を心得ておくべきだ。

人を教導するときには、あまり多くを期待してはならない。相手が実行できる範囲内で満足すべきだ』

『幸福は求めようとしても求められるものではない。常に喜びの気持ちをもって暮らすこと、これが幸福を呼びこむ道である。

不幸は避けようとしても避けられるものではない。つねに人の心を傷つけないように心がけること、これが不幸を避ける方法である』

以上のようになりますが、これらの教えは決して、難しい内容ではないと思います。

それにもかかわらず実行できない方が多いため、人間関係におけるトラブルが、いつまで経っても絶えないのかもしれません。

改めて菜根譚を読み直してみると、人間関係におけるトラブルを回避するための、次のような教えも記載されておりました。

『狭い小道を行くときは、一歩さがって人に道を譲ってやる。おいしい物を食べるときは、三分をさいて人にも食べさせてやる。

こんな気持ちで人に接することが、すなわちもっとも安全な世渡りの極意にほかならない』

『この世の中を生きていくには、人に一歩譲る心がけを忘れてはならない。一歩退くことは一歩進むための前提となるのだ。

対人関係においては、なるべく寛容を旨としたほうがよい結果につながる。人のためにはかってやることが結局は自分の利益となってはねかえってくるのだ』

『なにごとにつけ、余裕を持って控え目に対処せよ。そうすれば、人はおろか、天地の神々も、危害を加えたり、わざわいを下したりはしない。

事業でも功名でも、トコトン追求してやまなければ、どうなるか。内から足を引っぱられるか、外から切り崩されるかして、いずれにしても失敗を免れない』

『小さな過失はとがめない。かくしごとをあばかない。古傷は忘れてやる。

他人に対してこの三つのことを心がければ、自分の人格を高めるばかりでなく、人の恨みを買うこともない』

『人と争ってわれ先に進もうとすれば、道はいよいよ狭くなる。一歩譲って後にさがれば、それだけ道は広くなる。

どんなにおいしくても、こってりしすぎた味は、すぐに飽きがくる。少しでもあっさりした味にすれば、それだけ長く楽しめる』

以上のようになりますが、これらの教えを総合すると、人生と自動車の運転は控えめな方が良いという、結論になると推測しております。

なお「事業でも功名でも、トコトン追求してやまなければ、どうなるか。内から足を引っぱられるか、外から切り崩されるかして、いずれにしても失敗を免れない」という教えは、あの人に伝えたくなりました。

あの人とはもちろん、現在は拘置所で孤独な日々を過ごしている、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長です。

特に「内から足を引っぱられる」という部分が、身に染みるのではないかと思います。

もっとも内から足を引っぱった日産の他の役員さんは、カルロス・ゴーン元会長の横暴を見逃していた、または黙認していたのですから、別の意味で問題があると考えております。
  1. 2018/12/16(日) 20:17:46|
  2. 本・雑誌

歴史は繰り返すが、残念ながら多くの人は、歴史が残した教訓を忘れる



富山国際大の学生6人が、平成30年(2018年)11月5日に富山駅前で、チョコレートパイ1000個以上を無料配布すると、ツイッターで告知したところ、大勢の人が殺到しました。

そのため現場ではゴミが散乱したり、駐車場のフェンスが破損したりするなどの、トラブルが発生したそうです。

今回の騒動を起こした学生さんが、どんな人物なのかは知りませんが、これだけの人々を集められるという事は、おそらく影響力のある人物なのだと思います。

その影響力をもっと建設的な目的のために、使えば良かったのではないかと思うと同時に、すっかり頭の中から消えていた、「帝銀事件」と「和歌山毒物カレー事件」を思い出しました。

帝銀事件とは昭和23年(1948年)1月に、厚生省技官と記載された名刺を持った男が、薬だと嘘をついて、銀行で働く行員などに青酸化合物を飲ませ、苦しんでいる隙に現金と小切手を盗んだという事件です。

また和歌山毒物カレー事件とは、平成10年(1998年)7月に行われた、夏祭りの際に提供されたカレーに、毒物が混入されていたという事件です。

どちらの事件についても犯人は逮捕されたのですが、前者の事件では12人の方が亡くなり、後者の事件では4人の方が亡くなるという、痛ましい被害が出ました。

そういえば昭和の後半には、自動販売機の出口や、その近くに置いてあった缶ジュースを飲んで、多くの方が立て続けに亡くなるという毒物事件も発生しました。

今回のチョコレートパイ騒動では、毒物は混入されていなかったようですが、1000個以上のチョコレートパイが配布されたのですから、もし毒物が混入されていたとしたら、帝銀事件や和歌山毒物カレー事件を超える被害者が出たかもしれません。

いずれにしろ帝銀事件や和歌山毒物カレー事件をはじめとする、毒物事件が発生したという歴史を、忘れずに覚えておきたいところです。

そうすれば見知らぬ誰かから、食べ物などを提供された時、またはどこかに飲み物が置いてあった時に、慎重な姿勢になるため、毒物の被害に遭うのを、防止できるのではないかと思うのです。

ただ残念ながら多くの人は歴史や、その歴史が残した教訓を、忘れてしまうため、同じような過ちを繰り返すのかもしれません。

もっとも今回のチョコレートパイ騒動の、現場を写した写真を見たら、制服を着た学生が多かったので、和歌山毒物カレー事件すら知らない世代の可能性があります。

しかしこういった世代であっても、例えば本を通じて、過去に起きた毒物事件について学んでいれば、チョコレートパイを無料配布するという話に警戒感を持ち、現場には行かなかったと思うのです。

ですから若者はスマホばかりをいじってないで、もっと本を読もうという結論になります。

個人的には過去に起きた毒物事件の話を知らなくても、チョコレートパイの無料配布には参加しなかったと思います。

その理由として日本には、「タダより高いものはない(人がタダで物をくれる時は、何か裏がある)」という、有名な言葉があるからです。

ですから歴史を学ぶと共に、先人達が残した名言も学べば、同じような過ちを繰り返すのを、更に回避できると思います。
  1. 2018/11/15(木) 20:49:52|
  2. 本・雑誌
次のページ