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「働かざる者食うべからず」より、「働かざる者狂うべからず」と伝えたい



新型コロナウイルスの影響により、倒産する企業が急増しているというニュースを見かけました。

業種別ではレストランや居酒屋などの飲食業、ホテルや旅館などの宿泊業が、倒産が多くなっているようです。

また新型コロナウイルスの問題が収束しても、人々の生活様式の変化により、業績回復が難しい企業が増えるのではないかという、悲観的な予想をしておりました。

これらにより雇用情勢が悪化すれば、生活保護の申請件数が増えるのではないかと思っていたら、すでに増加しているようです。

例えば厚生労働省は令和2年(2020年)7月1日に、4月の生活保護の申請件数が2万1,486件となり、前年同月比で24.8%増加したと発表しております。

また生活保護の受給を開始した世帯は1万9,362世帯となり、前年同月比で14.8%増加したと発表しております。

このように前年同月比で2ケタ増加したのは、平成22年(2010年)1月以来になるそうです。

平成20年(2008年)9月に、100年に一度と言われた金融経済危機の、「リーマン・ショック」が発生しました。

この直後に生活保護を受給する世帯が急増したのかと思ったら、それから1年半くらいが経過した後に急増しているのです。

ですから新型コロナウイルスの影響による、生活保護を受給する世帯の増加は、これからが本番なのかもしれません。

また生活保護の申請件数や、生活保護を受給する世帯が増えたといっても、氷山の一角ではないかと思います。

つまり生活保護を受給できる要件を満たしているのに、実際は申請していない方が、かなり多いと推測されるのです。

この理由のひとつとして考えられるのは、「働かざる者食うべからず」という考え方ではないかと思います。

ただ今は働く場所が、大幅に減っているのですから、働かないのなら食べてはいけないと言われても、手の打ちようがないのです。

また今回は失業を免れた方でも、AI(人工知能)の発達により、働く場所を失ってしまう可能性があるのです。

ですから「働かざる者食うべからず」という考え方を、見直す時が来ているのかもしれません。

ただ幸福な人生を送るには、やはり何かしらの仕事に就いて、働いた方が良いと思います。

このように考える理由として、もう何十年も前に読んだ文科の時代(著:渡部 昇一)という本の中に、次のような文章が掲載されていたからです。

『つまり人間は、自分の好む観想や読書などのほかに、労働だと感じられるものを意識的にやり続けないと、そのうちに救い難い精神頽廃を招くというのである』

『労働を人間の健全性と幸福のための本質要件と見ること、共同体に歯車として労働を提供すること、さりとて労働至上主義にならぬこと―こうしたことこそ、人間の真の自己実現があるとした労働観、これが西欧を作った真の原因である』

以上のようになりますが、これを読むと適度な労働は、精神の安定のために役立っているとわかります。

ですから新型コロナウイルスの影響で、失業した方に対しては、「働かざる者食うべからず」より「働かざる者狂うべからず」と、伝えたい気持ちになります。
  1. 2020/07/13(月) 20:57:09|
  2. 就職・起業

少子化、同一労働同一賃金、AIにより、大学進学のコスパは悪化していく



令和元年(2019年)7月13日の毎日新聞を読んでいたら、まるで旅行代理店の雰囲気 学生ローンに行列のワケと題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『6月下旬の東京・高田馬場駅前。最高気温が30度に迫り、ワイシャツが汗ばむ昼過ぎ、「学生ローン専門店 お役に立ちたくて」と書いた派手な看板が目立つ6階建ての雑居ビルに20歳前後の若者が次々と吸い込まれていった。

3階にある学生ローンの店舗の前には店に入りきらない学生2人が置かれた丸椅子に座っていた。「ここ1、2年、お客さんが急に増えた」と男性店員。今、学生ローンに行列ができるワケを追った。

店に入ると、カウンターの向こうにいる若い女性が間髪を入れずにオレンジジュースを運んできた。ローン会社というより、旅行代理店のような雰囲気。「敷居」を低くする工夫が施されている。

店の奥にいた常務の男性(51)によると、同店には現在、社会人になって返済している人も含めて顧客が数万人おり、平均の債務残高は十数万円だという。

学生ローンを専門に扱う同店の金利は「大手消費者金融より若干低い」年率17.0%。借金の理由は生活費やパソコン購入などさまざまだという。男性は「お金を借りに来る学生さんは両親が離婚しているケースが多いですね」と話す』

『約30の大学などの学生でつくる団体「FREE」が昨年9月から今年6月にかけてインターネットなどで実施した調査でも、最近の大学生の苦しい実態が見えてくる。

集計が終わった6226人の回答のうち、46.1%が生活費を稼ぐアルバイトのために「睡眠時間が削られる」と回答した。中には「1日の食費が300円」、「毎日2時間睡眠でアルバイトと学習をかけもちしていた」といった回答もあったという』

以上のようになりますが、この記事を読んでいて最初に驚いたのは、学生ローンの利子が年率で17.0%もする事です。

それに対して例えば社会福祉協議会が実施している「生活福祉資金貸付」の利子は、連帯保証人を立てる場合は無利子、連帯保証人を立てない場合は年率で1.5%です。

こういった公的な貸付制度の利子と比較すると、学生ローンはかなりコスパが悪いため、まずは公的な貸付制度を利用できないのかを調べてみて、それが利用できないとわかってから、学生ローンを利用した方が良いと思います。

この記事を読んでいて、もうひとつ驚いた事があり、それは今の学生さんの生活が、かなり苦しくなっている点です。

その理由について調べてみると、大学の授業料の高騰や、親からの仕送り額の低下などが見つかりました。

来年から給付型の奨学金が始まるようなので、以前よりは状況が良くなるかもしれませんが、国の財政状況から考えると、それほど期待できるとは思えないのです。

そのため大学進学は高い学費に見合う価値があるのか、つまり大学進学のコスパについて、検討すべき時代が来ているのかもしれません。

個人的には次のような3つの理由により、大学進学のコスパは更に低下していくと思うのです。

(1)少子化により高卒か大卒かを問わず、売り手市場が続いていく
厚生労働省と文部科学省の発表によると、大卒の就職率だけでなく、高卒の就職率についても、ここ数年は過去最高の水準で推移しております。

しかも平成31年(2019年)の春に卒業した学生の、4月1日時点での就職率は、高卒が98.2%、大卒が97.6%だったため、高卒の就職率の方が良かったのです。

このように選り好みしなければ、高卒でも大卒と同じように、就職先は見つかるのです。

また少子化が改善する見通しはなく、当面は高卒か大卒かを問わず、「売り手市場」(求人数が多く、求職者に有利な状況)が続いていくと考えられるため、大学進学のコスパは悪化していくと思うのです。

(2)同一労働同一賃金により、生涯賃金の差がなくなっていく
大卒で就職した方が、生涯賃金が高くなるため、長い目で見ると大卒の方が有利という意見があるかもしれません。

ただ来年(中小企業は再来年)の4月から、「同一労働同一賃金」(同一の仕事をする労働者には、その雇用形態にかかわらず、同一水準の賃金を支払うというルール)が実施されます。

これが普及されていくと、同一の仕事をしていれば、高卒でも大卒でも同じ賃金になるため、大学進学のコスパは悪化していくと思うのです。

(3)AI(人工知能)によって、資格の価値が低下していく
大学や大学院に行かないと取得できない資格があるため、大学に行った方が良いという意見があるかもしれません。

ただ弁護士や税理士などの専門性が高い資格でも、AI(人工知能)によって仕事が減るという予測があるのです。

一方で例えば他者とのコミュニケーションが求められる仕事は、AIが発達しても仕事が減らないと言われております。

こういった仕事に必要とされるコミュニケーション能力は、大学に行けば身に付くようなものではないので、大学進学のコスパは悪化していくと思うのです。
  1. 2019/07/16(火) 20:29:24|
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